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 この「虚街奇譚」というゲームを形にするにあたって、最も気にしたのは世界観の維持です。小説家が一人で小説を書くのと違って、ゲームは一人で作り上げるものではないですから、企画段階のイメージを損なうことなくゲームを作り上げるというのはなかなか難しいことです。

 何よりスケールの大きな話なので、登場するキャラクターは設定を決める段階でかなり試行錯誤しました。その点では、世界観が予め決められているというのはかなり強みでした。土台がしっかりしているのなら、その上が多少揺らいでも立て直せるからです。
 また、世界観に合った人物のビジュアルを用意するのにも気を遣いました。流行を追うということよりも、この世界ならではの魅力を重視してデザインしてあります。

 街をデザインするときには、主に香港やヨーロッパの街並みを参考にしました。もともとはヨーロッパ色の強い雰囲気を作ろうとしたのですが、制作開始直後に香港に取材に行く機会があり、その結果全体の雰囲気もアジア寄りのものになったように思います。
 よく九龍城(香港、九龍半島に過去存在した巨大マンション)をモデルにしているのではと聞かれます。確かにそれもあるのですが、他にもフランスのバンド=デシネや特に東欧の迷路のような市街地のエッセンスも盛り込んであります。

 まもなく完成にこぎ着けようとしているこのゲームは、大きな衝撃を持って受け止められると確信しています。スタッフそれぞれが強いこだわりを持って作り上げる「虚街奇譚」の世界観を、少しでも多くの方に味わっていただきたいと思います。




吉田誠治
瀬島健太郎